呼子町小川島 鳴海常蔵さん(明42生)

 あれは龍造寺隆信が、あの、妹の子で、

龍造寺、佐賀、化け猫騒動で目の不自由かとのおろうが。

そいがですね、あの、鍋島がご家老だった。

親父が年取らした。

どぎゃんなっとして親父の方に、目の不自由かもんじゃいけん、

あの、碁に誘われたわけたい。

そしたら女親おって、家来て一人行かすとやっけん。

盲ばってんどうしても碁が、目の見えたな鍋島さんが負けらすっとたい。

そいで仕舞にそん、隆信の子が殺すわけたい。

そいでおっ母()さんな何(なん)か行たとっと知っとんもんじゃいけんな。

そいで、そがん風じゃいけんな。

そいで、そぎゃん風じゃっけん、こりゃあ、あつこで殺()られとっと。

鍋島公で殺られとって、おっ母さんの悟らすわけたいなあ。

そいで今度、わが女で畑も何も打ちえんだろうが。

そいぎ今度(こんだぁ)、わが家(うち)の飼()ゃあ猫ば短剣で喉ば刺すとたい。

そして、

「今度、お前、こいを舐()めて敵(かたぎ)を討ってくんさい」と。

それからが今度(こんだぁ)猫化けになる。

〔その他〕

(出典 未発刊)

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