呼子町小川島 迎 六太郎さん(年齢不詳)

 小野上に金右衛門て言う狐のおったそうですな。

そいで今度(こんだぁ)、奥さんの方が身持ちで、そして難産だったそうですよ。

そして呼子の黒井の産婆さんば迎えに来て、

そして、あん、何(ない)して、安産の何(ない)も、

産婆さんと両方何(ない)で、子の生まれたそうです。

そしたら大層なご馳走持って来て、何(ない)したそうですもんな。

そして、さあ帰ろうてしたら、二人連れ帰って座っちょらしたて。

そうしたところが、夜の明けてみたところが、

やっぱい小野上じゃったそうです。そうしたところが、

「こりゃあ金右衛門に化かされた」ち言()うて、

「この話は人にすんなよ。人から馬鹿にさるっけん」

ち言うて、帰られたち言うたい。

そうしたりゃ、そん時、祝儀のあったそうです。

そうしたところが、二人前足らんやったそうですたい。

そりばあっかい【それでおしまい】。

(出典 未発刊)

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