鳥栖市今泉町 重松ヒサヨさん(明30生)

 むかし。

本当の自分の子と継子がおった。

そして山奥のお宮で椎の実を拾っていた。

継嬶(かか)さんは、前の子供の椎の実を入れる袋の穴を開けていた。

自分の本当の子供の袋は破れてなかった。

それで、継子の方はひとつも椎の実が溜まらんかった。

本当の子供の方は、いっぱい拾って帰るし、

継子の方はひとつも椎の実が溜まらんから、お堂の下に寝ったそうな。

そしたら、夜中に鬼たちがいっぱい来て、

酒飲んで、騒いで、宝物も持って来ていたでしょうよ。

それで朝、鳥の真似をして、

「コッケコツコー」と、継子が言うたら、鬼たちは、

「夜が明る」と言って、何もかも捨てて帰ったそうな。

それだから夜が明けて、継子は宝物などを拾って家に帰ったそうな。

継嬶さんは、今度は反対に自分の子供の椎の実の袋に穴を開けて、

椎の実を拾いにやった。そしたら鬼が、

「この前は、騙して、あんなことをしたんだな」と言って、

酷い目に合わせて、本当の子供は殺されて、敵討ちをされた。

(西南大の資料)

[二一二 栗拾い(AT四八〇)]

(出典 鳥栖の口承文芸 P126)

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