鳥栖市牛原町 林 恒雄さん(大元生)

 こっちからずうー登って行きよっぎな、石のな、

幾(いっく)らでんこう、くんかくっとんもん。

そいけん、私の親父にゃ、

「鬼の岩屋は、ここばい」ち、教(おそ)えよったもん。

「『鬼の岩屋』ちて、お前(まい)、そやほんなこつかの」

ち、俺(おり)が言いよった。

そいばってんがねぇ、鬼の岩屋はねぇ、

鬼が岩屋ば作りよったげな、

鶏な、コケコッコーて、鳴いたげな。

「こりゃあ、まあ夜の明くじゃあ。もうやめとけ」

ち言うちから、鬼が逃げたとこ。

そうしたところがな、そのコケコッコーて、

鳴いたたあ、彦山権現山だったげな。

権現山が、鶏の真似ばして、あつけぇ岩屋ば作ったのは、

このへんの者(もん)が生活されんけんな、

あつけ作らんごとしたげな、

ちゅう話が親父が教(おそ)えた。

                                                     [自然説明伝説(岩)]

(出典 鳥栖の口承文芸 P296)

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