鳥栖市牛原町 林 恒雄さん(大元生)
河内山の入口に、鬼の岩屋がありました。
そこの鬼の岩屋と言うのが、鬼が数十匹来てから、
河内山が八百八谷あるというのを調べたそうです。
鬼と言うのは、
八百八谷の広さがないと棲まわれないのです。
そこに、鬼が棲まおうと来たそうです。
そして、棲まうには、家を造らにゃいかん、と
言うことで家を造り始めたそうです。
そして、家を一晩で造らにゃいかんそうです。
それで、数十匹の鬼が、
一生懸命、鬼の岩屋を造っていたそうです。
そしたら、英彦山の権現様が、ここに鬼が来たら、
このへんの住民は困ると思って、それを心配して、
「これは何とかして鬼を退散させにゃいかん、」
と言うことで、英彦山の権現様が来てから、
鶏の鳴き真似をされたそうです。
十二時を過ぎた頃、まだ、鬼の岩屋が半分しかできない時、
「コケコッコー」と三回、鳴かれたそうです。
それで鬼達は、
「こりゃ、夜が明けるなら造りゃきらん。
もう、やめてしまおう。」
と言って、夜が明けないうちに、何処かへ行ったそうです。
それで、鬼の岩屋は半分造りかけて、
英彦山の権現様が、
「鶏の泣き真似をして、鬼を追い払うてもろうた」
と言う話です。
(西南大の資料)
[自然説明伝説(岩)]
(出典 鳥栖の口承文芸 P295)
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