川副町大詫間十三区 池田トメさん(明38生)

 まいっちょなたあ、ほんに、あの、息子のなたあ、

ちぃっとおとなしかったんたあ。

まーだそうで、全く、もう(おなげ)

かかったこともなしなたあ。その聟さんが、

その、嫁くさん呼ばしたち。

そうしたところが、その嫁くさんの上、

乗っとらしたいば、乗ったばかいで、嫁さんの、

(ない)しよっかんたあ。(はよ)う入れんかんたあ」ち、

言わすばってんがその、

入れ方(みち)が知らっさんちゅうもん。

そうーしてもう、途中で(のみ)のなたあ、

太うか蚤の、キリッち、()ゃあたち。

そいで、その蚤のなたあ、キリッち、刺ゃあたぎぃ、

わがまえから()ゃあ()うだち。

そいぎぃ、嫁くさんの、

「前まであいすっばってん、たった初めてあんた、

あの、初めてじゃろう」ち、言わしたち。

そうしたいば、

「知んもんかい。(おり)ゃあ、もう、

ほんな初めて嫁くさん呼うだ」ち。

「そいで、蚤どんおらんない、あんた、

どがんすっつもいしとっかんたあ」ち、言わしたち。
「そんない、()のよいして乗っていっちょかじにゃあ」ち、言うたち言う話。

(出典 未発刊)

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