川副町犬井道十四区 徳永広作さん(明30生)

 そい、何処(どけ)ぇじゃいが、その、

(おなげ)ぇかかったごとなか息子がなたあ、

ちょっとたらんとたいなたあ。

あの、嫁御呼うだらしか。

そうして、本格式にやったもよう。

ところがその、済んでから、こう()いでみたとが、

わが(せがれ)の先の皮の被っとらんちゅうもん。

そいで、

「おりょっ。俺が皮は、何処(どこ)さい行たじゃいきゃん」

()うて、まあ、どっさい、

どぎ座ってこうこう(たん)ねよったちゅう。

そうしたいば、(すがい)じゃい(ない)じゃい来てなたあ、

その、わがとの先ばキリッち、()ゃあたちゅう。

そいぎぃ、痛かまぎれに、こうすれたち。

そうしたいば、その、

「おりょっ。やっぱい、見捨っ神のあれば、

助くっ仏のあっ」ち言うて、

「えぇ、(かや)あ、(うしの)うとったいば、

蟻の持って来てくいたやっこう」ち言うて、

言うたらしかたんたあ。

(出典 未発刊)

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