杵島郡白石町(旧有明町)下牛間田 栗山藤市さん(年齢不詳)

 北山のふうけ【馬鹿】聟(むこ)は、嫁の里へ行きました。

そこの嫁のお母さんは、

聟さんに餅を食べさせようと思って焼き始めました。

そして、餅が「プウー」と、ふくれたので、

お母さんが、それを叩いてから聟さんに、

「さあ、食べなさい」と言って、出してくれました。

聟さんは、餅が腹を立てているから、

叩かれたと思いながら食べました。

それから、聟さんは帰ることになったので、お母さんは、

餅を重箱に入れて土産(みやげ)に持たせようとしました。

すると、聟さんは、

「かぶいつこうごたっけん【噛みつくようだから】、持って行かん」

と言って断ったのです。

しかし、お母さんが余りに勧めたから、

棒の先に重箱を結び付けて、聟さんは持って帰りました。

それで、その途中、重箱が聟さんの肩に下がってきたのです。

聟さんは、餅から食われてはいけないと思ったので、

そこに置いて逃げて帰って行きました。

そして、聟さんは嫁さんに、、

「かぶいつこうでしたけん、捨てて来た」と言いました。

嫁さんは、捨てた場所を聞いて餅を取りに行きました。

それから、嫁さんは餅を焼いていると、

「プウー」とふくれました。

聟さんは、

「うっ叩いたが、うまかにゃあ。うっ叩いて殺すぎ、うまかにゃあ」

と言ったと言うことでした。

(出典 佐賀の民話第二集 P216)

標準語版 TOPへ