三田川町目達原 荒木チヨさん(大2生)
もう、ふゆう坊の何でせじぃ、ごろんごろんしとったもん。
そうしたぎんと、その嫁さんの家(うち)に何か挨拶に行かんば。
紋付袴(もんつきはかま)で、たったったあで行きよらした。
所の名前ば、
「何処の、次の、何処の、何じゃけんが」ち言うてでね、
あの、わが家の家号ば嫁さん言うとらしたけん、
そいばずうっと言うて行きよったぎぃ、
途中で、どがんじゃいで、うっつ忘れとらす。
そいで、そこの家に行ったぎその、団子(だご)ばちいござった。
そいと、出しなったて。
その団子が、とてもうまかったちゅうわけ。
今まで食べたごとなか。そいぎぃ、
「そがん好(し)いとんなら、あの、娘は上手じゃっけん、作って食べさせんかい」
ち、言わしたもんじゃっけん、もう、
「そんな」ち言うことで、その、帰りがけ、
「団子、団子、団子」て、言うて行きよらした。
また、途中で何かに引っ掛って。
そいまた、忘れとったですもんね。
そして、家帰って、そいば言いよって、ないしたぎぃ、団子のことが
出てこんもんじゃっけん、そいば言わしたぎぃ、どうしたっちゃ、
叩かれたけん、瘤のできたけん、あんた、団子の出来たけん、団子やったたい。
[大成 三六二A 団子聟]
(出典 未発刊)