三田川町下豆田 材木武尚さん(大5生)
聟さんが、
「団子、団子」言うて、来よったところが、
ちょうど川の踏んばい口のあったもんじゃい、
「ピントコ」ち言(ゆ)うて、跳びやったところが、
それから先は団子じゃなし、ピントコにいちなってなた。
そして、わが家(え)さい帰ってから、
「あの、ピントコのうまかったじゃあ」
ち言うて、嫁くさんに言うといなけやろうなあ。
そいぎぃ、ピントコちゅうぎ何じゃろうかあ、と思うて、嫁くさんの、
「『ピントコ』ち言うぎぃ、何(ない)かんたあ」ちいござった。そいと、
「ピントコでんわからんかあ」ちて、親爺が嫁くさんば叩せなっ。
そうしたら、嫁くさんの額に、たんこぶの出来て、
そいが団子のごと見ぇかかったもんじゃい、
「ああ、今んとは団子やったたい」て。
そいから思ぇ出ゃあて、
「団子、団子」でなた。
[大成 三六二A 団子聟]
(出典 未発刊)