鳥栖市柚比町 埋金時枝さん(明43生)

 お爺さんとお婆さんと二人おんなすたげなら

蛇ば飼うてあったそうです。そっだけん、その蛇を、

「シド」て言うてから、名前ばつけて、

「シド、シド、シド、シド」ちゅうて、

ご飯やら食べさせて可愛がりよんなさったち。

そしたらその蛇がもう大きゅうなったげなけん、皆から

「でけんち、置いちゃでけん」ち、近所から言わるけん、

「仕方なかけん、お前は何処か行ってくれ」て言わしゃったて。

そしたらお爺さんとお婆さんとたった二人だけん、

子供さんもおんなさらんだったけん、

「私が死んだならば、池ん中にほうかってくれ」

ち言うてあったち。

そしたけん亡くなんなすてからですね、

池ん中に入れなすたげなら

蛇が池ん中から出てきてですね、

ズウッと泳いで来てちから杓子のごたっとに乗せて

ズウッとつんのて行ったち。

(西南大の資料)

[一四二A 蛇息子(AT四三三B)]類話

(出典 鳥栖の口承文芸 P107)

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