鳥栖市永吉町 前川亀太さん(明37生)

 白鷺が余計(よけ)おったそうですよ。

ところが、土手にげすね。

百舌(もず)がスッキリですね、子供を五匹持っとったそうです。

ところがそこに狐が来て、そん百舌にですね、

「おまえの子供をくれれ」ち、言うたそうですよ。

ところが、可愛い子供をですね、やるのは辛いから、

「やらん」ち言うたそうです。ところが狐が、

「お前がやらんならば、登って捕るよ」ち言うたそうですよ。

それで鳴く鳴く一匹やるけ、また明けの日に来てですね、また、

「こをやれ」ち言うたそうですよ。それで、

「やらんなら、またやらんと登って捕る」

ち言うそうですから、とうとう何回も来て一匹になったそうですよ。

鳴きよったところに白鷺が来てですね、

「なし鳴きよるか」ち言うたそうです。

「狐がこうして五匹の子を四匹までやったい言うち、

でもあと一匹をやらんなら登って捕る」ち言うち、

「狐は登りきらんから、登って捕るなら登って捕れち言え」

ち言うたそうですよ。

ところが登りゃあきらんもんですから、

「そんなこと誰から習ったか」

「白鷺さんが教えてくれた」ち、白鷺に聞いて、

「お前は、くりことを教えた」ち、

尻をチョッと咥(くわ)えたそうですよ。

白鷺も逃げぼそいですね、

「お前(まや)あ、殿さんのとおりば見たごとがあるか」

狐に言うたそうです。ところが狐は、

「自分は、殿さんのとおりば見たことがない」

「ほんなら自分の羽の下に入ってみれ、殿さんのとおりが見える」

ち言うたそうです。

羽の下に入るには、放なさにゃあならんですもんね、

咥えてるのを。

放したもんですから、白鷺は、ポーッと飛んで逃げたて。

(西南大の資料)

〔動物昔話、その他〕

(出典 鳥栖の口承文芸 P92)

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