鳥栖市神辺町 (名前・年齢不詳)男性

 主人がな、旅に立ちしゃったげな。

そしたらげな、旅に立ちしゃったけな、

その、ちょろっと帰ってこらしたげな。

そしたらげな、そん息子がな、

そん子供が二人おった、息子ん子の。

そしたら、その隣の人が、そん、子供が、

そん朝早うもんから、とっとこ、とっとこ、とーりょお、

そん、にぎり飯ば握って、そのにぎりごはんからね、朝って。

ごはんば、そんにぎったとば、かえもっちきて、

そして、遊びげしたげな。

そして、

「お前が父ちゃんな、帰ってこらしたか。」

ち、言うたげなら、隣の人のおやじさん、言わしたげなら、その、

「帰ってきた。」ち、言わんべい。たら、

「お前は、何ばみやげばもろたか。」ち、言うたげなら、

どっか、自分な、その大きか鉄砲ば、もろたち。

そうすると、いっちょんとは、剣ばもろたち、言うたげな。

たら、

「母ちゃんには、何ばみやげ物しちゃったか。」

聞かしたげな。そしたなら、

「足袋じゃなかったろか。」

言うたげな。

「どない、足袋じゃったか。」

言うたら、

「ひゃあったか、ひゃあったか、そん、言わしゃるやん、

ゆんべ言いござった。」っち。

言うて、そん、足袋がその、ひゃあったか、ひゃあったかが、

足袋じゃなかったろかな、

「おおかた。ひゃあったか、ひゃあったか、」って言いござったげな、

そん、言うてそんが何がそん、ひゃあったか、

ひゃったか、ひゃあるとこの違っとたげな。

〔笑話〕

〔艶笑譚〕

〔鳥栖の口承文芸 P234〕

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