鳥栖市飯田町 高尾君子さん(大13生)

 昔ね、あるところにね、名前の長い人がおったげな。

それがね、名前はね、

「へーてこへーてこへーがーのーこかがみだかのこ、

いっちょうぎりか、ちょうぎりか、ちょこちょこまんのちょうまんじ、

ひきぎのいすけ」て言うそうな。

そしたところがね、ある日、その井戸の中に落ちたて。

それでね、井戸の中に落ちたけんね、その、梯子を借りに行ったって。

そして、

「誰か井戸の中、落ちたかい。」

って言んしゃったらね、

「へーてこ、へーてこ、へーがーのーこ、かがみだかのこ、

いっちょうぎりか、ちょうぎりか、ちょこちょこまんのちょうまんじ、

ひきぎのいすけが、あの、井戸の中、落ちたもん。」ち、言うたげな。

「何ない。」

って、又、聞いちゃったって。それでね、又、

「へーてこ、へーてこ、へーがーのーこ、かがみだかのこ、

いっちょうぎりか、ちょうぎりか、ちょこちょこまんのちょうまんじ、

ひきぎのいすけが、井戸の中、落ちたもん。」

って言うたって。

「そーりゃ、大事ない。そんにゃ、はよ行かなごて。」

って行ったって。

そして、あんまり名前が長かったけんね、

何べんでも言いよったけんね、もう溺れて死んどったって。

それでね、

「今度生まれた時は、もう、そぎゃん長か名前はつけん。

今度生まれた時は“ちょん”ってつける。」

て、言うたそうな。

〔笑話〕

〔鳥栖の口承文芸P240〕

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