東川登町袴野 南 権平さん(明31生)

 狸と人間とその、あぎゃんとちょっと、そいぎその、人間が、

(おり)ゃあ、あの、銭とぼた餅じゃいいちばんその、(えす)か」て、

その、人間が言うたちゅうもんなたあ。

そいぎ今度(こんだ)あ、狸が、いちばん口なたあ、その狸なたあ、

「あの、魚捕ろうぜちゃ、どがんして捕るっか」と。そいぎその、

(かや)あその、尻尾ばつけとっぎぃ、尻尾、(さかな)がかかる」て。

そいぎぃ、あの、狸が川ん(なき)ゃあ尻尾ばつけとらしたいば、

その、(くい)の張って尻尾のぬげんじゃったて話なんたあ。

そいぎんと、

「銭とぼた餅がいちばん(えす)か」と言うことば、言うたですもん。

そいぎ今度(こんだ)あ狸が、納戸の棚からぼた餅と銭と、もう取ったもんじゃいけん。

もう片一方は、うれしかとば、

(えす)か」ち言うて、「あはあ、あら」ち言うて、もう納戸のところで、

もう逃げまくらしたいば、その狸は言うて、あの、戻ったちゅう話なたあ。

そう言う風なことも、話の聞いたことあるですよ。

(出典 未発刊)

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