有田町泉山 池田忠一さん(明34生)
そいからねぇ、ある女性がその、ある人に惚れたわけ。
「お前、好いとんないばねぇ、
清正(せいしょう)公(こう)さんに願掛けんかあ」て。
清正公さんて赤絵町にある。
ほうげん寺て、お寺がある。
清正公と、キヨマサ公て、清正公と言いましてねぇ。
で、神さんみたいになっとる。
そこの、法華宗が、まあ信者ですね、
「あすこに願掛くんない、二十一日願掛くんない、よかばい」て。
そいぎぃ、毎晩行たて、四時頃から行たて、
一生懸命、願掛けるわけです。
そいぎぃ、満願の日にですねぇ、
「俺は、清正公なるぞ」と。そいぎぃ、
「ああ、お前の願い聞きとどけてやる。
そいで、清正公にひとつさせろ」
「はあーい」ちて。そいぎぃ、清正公がやらすわけ。
ところが、もうひとり、連れがおったわけですよ。
清正公さんの連れが。
そいぎぃ、そいもしたかわけですよ。
「門番にもさせろ」ちて。
有名な話です。
(出典 未発刊)