有田町泉山 池田忠一さん(明34生)
親父が中風で寝とるわけですたい。
そいを嫁さんが、すっときばい、あや真中、
中風なかそうですねぇ、真中だから。
そいで嫁さん、上に乗って一生懸命やっているわけ。
ところが、ひょっとガラッと開けて、
「こんちは」て言うて、来たわけ、ある人が。
そいぎぃ、おろといて嫁さんが下(お)りて、
「ほんに、どなたかなたあ」て言うて、出て行た。
ところがその、親父がかなわん手でですねぇ、着物ば被せて、
そりゃあ、右にゃかなわんない、左でも被せじゃ。
(そりゃあ、被せられんところを言うところが、おもしろか、話のねぇ。)
(出典 未発刊)