有田町泉山 池田忠一さん(明34生)
そいからその、牡丹熊さんがねぇ、やったわけぇ、始終やったわけ、ちょんべぇば。
「紙はもったいなかもんにゃあ。私(わい)、干(へ)ぇてみゅうかにゃあ」言うてですねぇ、
縁側に干したわけですたい、どっちも。
ところが、嫁御はちょっと恥ずかしかったでしょうな。そいぎぃ、
「どうーも」
「もうふったにゃあ」て、言うたわけ。
「ない」ち、こう言うたわけ。
「ほんなことにゃあ、丸帽子、そいから割(わい)帽子ば先こう、乾(かわ)こうにゃあ」て。
「男ンとは丸帽子。女(おなご)ンとは割っとっけん、割帽子。そいで早う乾こう」言わしたち。
こういう話。
(出典 未発刊)