十二支の由来

作:いおりん

向島 中島レイさん(明38生)

 猫が鼠食うとはねぇ、

もう、あの、山の神さんが晩にぃもう、

神ばどっさい描きないよったて。そいぎと、

「何(ない)描よっかい」ちて、言うたぎとはね、

「いちばん早(はよ)う来た物ば、十二支のいちばん口なす」

ち言(ゆ)うたち。

そしたら、鼠が気の利いとろうが、

そいけん、牛はね、ぼっといじゃいけんね、

「私(あたい)は、ボトンボトン行くけんが、前日(まえび)から行く」

ち言うて、行たち。

そして、猫に鼠が嘘(すらごと)言うたて。

明日(あした)行くとば明後日(あさって)、日にちば嘘言うとったち。

そうしたぎぃ、牛がモソーモソー行くもんじゃい、

鼠が利口かもんじゃい、頭に乗って行たち。

どずく時分になって、ピーンと降りたけん、鼠がいちばん口。

そうしたら、猫はね、鼠が嘘教(おそ)えとろうが。

そいぎぃ、俺(おい)十三人目にあったち。

そいもんじゃいその、

「わが、嘘言うた。わがばみんないち食う」ち言うて、

鼠は猫が敵(かたぎ)ち。

(出典 三根の民話 P158)

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