新村 (語り手・年齢不詳)
なかなか不仲やったもようたんた。
そうしたぎにゃ、嫁さんが少し具合の悪してなた。
ちょうど秋の末、粟(あわ)ちゅうもんば、
あぁあ、粟ちもんばちぎらんばもんばなたあ。
そいで、姑母さんが非常に強かもんじゃい、
「かたげてきござい」ち、
そいぎ姑母さんのどげん思いなったこっちゃい、
気色の悪かもんじゃい嫁さんになたあ、こっかけもようだんたあ。
そうしたぎぃ、どうしたこっちゃい、手ぇ持っとる包丁で、
股んにきば、ひっかかったもようたんなた。
そして、そいがひっかかったもんじゃ、姑母さんなあ、
嫁さんの顔はガイガイガイで掻きしゃきなったもよう。
そいから先がもう、大事さい、半殺しなったちなた。
そいぎぃ、姑母さんな、裁判所言うたち。
裁判となったところが、
再々の判決はどぎゃんきいたかち言うにゃ、
えぇ、姑母さんにゃ、
「お前、八年の懲役よ」ち。
「おりょ、掻きしゃあたばっかいで、八年の懲役」ち、
嫁さんにゃあち言うぎぃ、
「嫁さんなあ、三年」ち。
「そいわあ、あべこべでござんせんかんた」ち、
姑母さん言いござったち。
「おりゃ、日本国中ちゃんと知っとろうもん」ち。
「桃食った奴は三年。」ち。
「桃くいは三年」ち。
「柿きゃ八年。」ち。
(出典 三根の民話 P139)