新村 (語り手・年齢不詳)
畑の鍬(くわ)打ちに行たてなあ、
子ば鷲にさらわれた、ち言うなた。
そいが、お母さんななた、尋んねて、やつれるごと尋んねて、
歩(さる)きよったて。
そいぎにゃ、何処じゃいの家で育てよった。
木にひっかかっとたけんなた。
そいば、あの、拾うて育ててじゃった。
そしたいば、
「歩いて来よいなった」と言うとなんてろの、そりゃ、
そのない良か坊さんのお説教のあっちて、
歩(さる)きないよったぎぃ、
そぎゃな話のあっち。そいけん、
「参り行こうか」ち、話のあいよったち。
そいぎにゃ、ああ、と思うて、参っとったもようたんた。
かいの虫、つうの虫ち、あったろうが、
あぎゃんとのすぼば、燕ち言うおうがなた。
そいば、そがんしてひぼばつくって、
おいなったぎその日のつぎにゃ・・・じゃなかろうかち言うて。
そいぎぃ、こっちから着物どんそぎんしてなた、
どけじゃい良か寺の坊さんになっとたち言うなた。
(出典 三根の民話 P134)