持丸 松永チヅ子さん(大11生)
バカ息子がねぇ、親戚の家(うち)お使いに行ってね。
そしたらもう、お前のおばっちゃんが親切に、
「『今、もう帰っ』ち言(ゆ)うたばてたばってんが、
昼飯どん食うて行けぇ。餅どん焼くじゃっかん」て、
餅ば焼きないよったらね、その餅がプーッと、膨るんもんじゃい、
「ありゃあ、あや。あの餅生きとっ。あぎゃんとば食わえならん」
ち言うてねぇ、もう、ちんちろみゃあで、
ちん逃げたちゅう話は、聞いたごとあっですねぇ。
餅の膨るんもんじゃいあ、動こうがあ。そいけん、
「生きとっ」ちて、
「あぎゃんとば食わせならんなら」ち言うて、馬鹿息子が使いに行ったて。
そぎゃな話、聞いたごとあっ。
(出典 三根の民話 P93)