唐津市鎮西町松島 高平ハツネさん(大5生)

 「雨が降ろうごたる時は、なぜ蛙が鳴くとね」

て、子どもたちに言うてですね。

そしたら、雨が降ろうごたる時ね、昔、親不孝者(もん)が、

親の言うことを聞かない者(もん)がおったそうですよ。

そして親が、

「川に水汲みに行かんね」て言えば、山に遊びに行く。そして、

「山に行って来んね。薪拾いに」ち言えば、川に遊びに行くして、

いっちょん言うことを聞きよらなかったそうですよ。

 そいがお母()さんが死に病気についた時、その子どもに、

「来てみんね」言うたそうです。

お母()さんの言うこといっちょん聞かんで、反対ばっかり行くから、

「死んだ時は、川に埋けろ」ち言()うたら、山に埋くるじゃろうと思うて、

「お母()さんが死んだ時ゃあ、川に埋けなさい」て、言うとったそうですよ。

そうしたら、死んだ時なっとんお母()さんの言うことを

聞いとかにゃいかんけんて、川に埋けたそうです。

そうしたら、雨が降ろうごとなったら、

「あの、お母()さんが流れるからどうしょうか」て、鳴くそうですよ。

 そんな話を聞いとったです。

そして、親の言うことと、茄子(なすび)の花は千に一つのあだはないてですね、

よう言うこと聞かにゃいかんよ、て言うて、子どもたちに聞かせよりました。

(出典 未発刊)

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