唐津市鎮西町松島 高平ハツネさん(大5生)
むかし。
蛙と猿が、
「米拾いに行こうや」言うて、田圃に行くですもん。
そして蛙はぬらいけん、
「猿。お前が背負(かる)わんね」て言うて、
猿に背負(かる)われて行くそうです。
猿は、そして狡(こす)かったそうです、蛙よりも。
「雲がヒューヒューいくけん、雲を見とかんね」て言うたら、
「ああ、早い早い。猿が早い、猿が早い、猿が早い」
て、喜びよったとかて。
そうして置(え)ぇてから、二人で、拾うてですね、米を。
そして餅搗きよったところが、臼がコロンコロン転んでから。
して、猿は早いもんじゃけん、臼について行ったそうですけど、
もう行った時はひとつも無(の)うして、そして蛙が後から、
ユックリユックリ跳んで来よったところが、落ちとったそうですたいね。
そして蛙が、喉に引っ掛けながら、食べよったそうですよ。
そして、猿が、
「臼にも一つもないから」言うて、登って来よったそうですとの。
「蛙たちゃ何食うかい」て言うたら、
「ちぃっと食わせんね」て言うたら、
「どうちぇ、どうちぇ」言うたて。
そればあっきゃ【それでおしまい】。
〔二〇猿蟹餅競争〕類話
(出典 未発刊)
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