鹿島市古枝甲字久保山  梶山辰馬さん(大4生)

 多良岳さんはね、有明海に渡航してですね、

筑後から、その、多良岳さんがこっちに、分身で来とんさっとですよ。

その時に、あの、山の形もいいし、あすこに(やしろ)を造ろうと、

言うことで、舟出をしとんさっですよ。

あの、日田ですよ、日田のズーッと奥地の方から。

そいで、来おってね、舟のそこが破れてね、そうしてその、潮水が入ってきた。

そうしたところがね、もうそのへんに泳いでおったエビとか、アミとかがね、

いっぱいその穴ん所に寄ってきて、そしてその、舟の沈没するのを防いでくれた。

そいだから、多良岳に着かれて、もうその、

アミ供養たいね、多良岳でしんさいたて。

そいからもう、アミば食うぎぃ、ろくな目あわんと。

そいでアミつけば弁当に持って来よっぎぃ、何とかかんとか、

そう言う、いろいろな伝説のあっとですよ、多良岳には。

[文化叙事伝説(精霊)]

(出典 未発刊)

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