三田川町吉田 八谷 典さん(大4生)

 和尚さんが飴の瓶(かめ)をですね、

何処か隠してあるわけですたい。

そしたら、皆寝静まって、小僧さんが

寝静まった頃に、その和尚さんが瓶を、こう開(あ)けながら、

そして、一人で箸にこうしながら、

こっそり舐めといなったそうですたい。

それを見てるもんだから、今日は小僧さん達四、五人が、

もう話し合(お)うとってですね。

そして和尚さんが、口、こう入れようとすっところに、

一人入って行くわけですたいね。そうしたら、

「仕方なか。お前(まい)、そんない誰にも言うな。お前だけにやっ」

て、一本こうしてやるわけ。

その人、行ってしまって、和尚さん今度(こんだ)あ、

また自分がすっところに、次の小僧さんが、

また来てから、また口に入れようとすっと、その、来るもんだから、

「仕方ない。お前も、そんなら」ち言(ゆ)うて

「誰もいうなや」て、言うとっですたいね。

「はい。有難うございます」ち言うて、引っ込むわけ。

そうすっとまた、今度、また全部その、飴を貰ったちゅう話ですね。

(出典 未発刊)

標準語版 TOPへ