三田川町吉野ヶ里 野中ツルさん(大5生)

 嫁さんになって屁ば我慢しとったばってん、

顔色の悪うなったけん、

「どがんかあるね」て、言われて。

「そんない、そこの柱ば、かがい付(ち)いとってね。

柱ば握っとかんない飛ぶよう」ち言(ゆ)うて、

棚から何(なん)でもばたばた落ちてきてね、

外に出てしもうたいしてね。

そいで離婚さりゅうで姑さんに連れ戻されて行きよったぎね、

柿ば、ちぎいよんさったばってんが、

「ちぎいきらん」て、言んさったけんが、

「自分が屁で落としてくるっ」ち言うて、落としてくんさったて。

そいから、またずうっと行きよんさったぎい、

あの、馬車引いて馬が行きよったぎぃ、馬が、あの、動(いご)かんやったとか。

そうしたら、屁であの、坂道ば動かして。

そいぎぃ、あとから

「この女は役に立つ」って、また引き戻されんさったて。

[大成 屁ひり嫁 三七七cf. AT一四五〇]

(出典 未発刊)

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