嬉野市塩田町 蒲原タツエさん(大5生)
荒神さんなねぇ、どぎゃんもなしでん、
まず太かとが大好きじゃったてぇ。
恵比寿さんなねぇ、小(こま)ーかっても
何(なん)てでん文句言わじぃ、
何時(いつ)でんニコニコして棟おんさったてぇ。
そいけん、お供えすっ時ゃねぇ、恵比寿さんにはさ、
丁寧に上等な物をお供えしおったてよう。
あいどん(シカシ)、荒神さんにはさ、
「残り物(もん)の太かとが良か」て言うて、
お供えすっ時ゃお餅でん、歪(ゆが)み歪みして、
とうとう海鼠(なまこ)んごた形になった
残い物の太ーうかとばねぇ、
お供えせんば気に入んさらんじゃったて。
そぎゃん残い物(もん)ばっかい上げよったけんねぇ、
お嫁に行く娘どんが荒神さんの餅ば食ぶっぎぃ、
「お前(まり)ゃあ、残い者になってしまうぞ。
売れ残っぞう」て言うて、これを例えに、
ほんに娘にゃ荒神さん餅ゃ
食べさせおんさらんじゃったてよう。
そいしこ。
[八七 本格昔話その他]
(出典 蒲原タツエ媼の語る843話 P362)