佐賀市長瀬町 納富信子さん(大14生)
西王母(せいおうぼ)は子供ば、いっぱい持っとったて。
そいぎぃ、二十三番目の女の子がね、瑶姫(ようひめ)て言うて、
すごく利発で仙人の術でんなんか、もう早(はよ)うに覚えてしもうてね。
そいぎぃ、お母さんから、
「女の子が、そがんおてんばじゃいかんから、お家にいなさい」て言われるけどさい、
「龍王を退治してやる」ってね、出かけて行くて。
揚子江の氾濫すっとはさい、竜王さんのいたずらて。
龍王さんが揚子江ば氾濫させて、揚子江のまわりに住む人たちば困らすっけんね、
「龍王ばやっつけに行く」て言うて、偽物作って出かけたてね。
そいで、自分の十二人の家来たちにもね、偽物を作ってね、人形のような物を作って、家に置いて。
そして、龍王の所に行くわけよ。
自分たちは、何(なん)もしよらんごとみせかけて、こっそり龍王の所(とこ)に、やっつけに行くわけよ。
そいばってん、龍王はさい、その娘ば好きになるわけよ、きれいかもんじゃい。
そいで、自分の嫁さんにしゅうで、なびかしゅうで思うとったばってんが、反対にやっつけられたて。
そいで、最後には、
揚子江の途中にある十二の峰ば自分たちが司(つかさど)って、揚子江の氾濫せんごと守っているわけて。
そして、山のひとつに、その娘さんが石になったってところのあって。
(出典 新佐賀市の民話)