神埼市神埼町竹原 古賀吉三さん(23)

 もじどんて久留米の豆津に一人(ひとい)おったもようたんたあ。

こいまた一風(いっぷう)、違(ちご)うてなたあ、

名は何(ない)きゃん〔か〕ち言うないばその、もどんじゃん。

そいぎい、

「親方たん、今日(きゅう)は何すっじゃいかん」ち、こう言うたち。

「今日は肥(こえ)どんかけやい」ち、言うたもようたん。

田ん中(なき)ゃあさいはまって行くてっちゃん。

そして、

「カラシその、肥どんかけやい」ちて、のー。

そいぎい、カラシ田ん中ゃあさい行たて、

ちょっと肥料(やしない)ば担(いの)うて来んばらんばてん、

わが一人行たて、ずーっとその、在郷(じゃーご)くさんたあ、

「もじでござる。もじでござる」て、

ひとやい〔ひとやり〕、ひとやい、ずーっと声かけよったもようたんたあ。

そいぎい、親方が、

「何(なん)しょっかのう〔してるのか〕、おとんな〔おまえは〕」ち。

「もじでござる。もじでござる」ち言うて。

そのようにそう言う風な話をなたあ、そがん聞きよったあ。 

〔大成 五九〇 仕事は弁当〕

 (出典 吉野ケ里の民話 P186)

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