神埼市神埼町竹原 古賀吉三さん(明23生)
もじどんて久留米の豆津に一人(ひとい)おったもようたんたあ。
こいまた一風(いっぷう)、違(ちご)うてなたあ、
名は何(ない)きゃん〔か〕ち言うないばその、もどんじゃん。
そいぎい、
「親方たん、今日(きゅう)は何すっじゃいかん」ち、こう言うたち。
「今日は肥(こえ)どんかけやい」ち、言うたもようたん。
田ん中(なき)ゃあさいはまって行くてっちゃん。
そして、
「カラシその、肥どんかけやい」ちて、のー。
そいぎい、カラシ田ん中ゃあさい行たて、
ちょっと肥料(やしない)ば担(いの)うて来んばらんばてん、
わが一人行たて、ずーっとその、在郷(じゃーご)くさんたあ、
「もじでござる。もじでござる」て、
ひとやい〔ひとやり〕、ひとやい、ずーっと声かけよったもようたんたあ。
そいぎい、親方が、
「何(なん)しょっかのう〔してるのか〕、おとんな〔おまえは〕」ち。
「もじでござる。もじでござる」ち言うて。
そのようにそう言う風な話をなたあ、そがん聞きよったあ。
〔大成 五九〇 仕事は弁当〕
(出典 吉野ケ里の民話 P186)
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