神埼市神埼町四丁目 米光輝次さん(26)

 むかしは金剛院(神埼市神埼町櫛田神社境内)ちゅう

お寺があったらしかですもんなたあ、

そや天台宗。

そしてその、将軍さんの結局はその、菩提寺と言うごた風で、

なかなかそこの和尚さんが見識のあって。

また、あぎゃん〔あんな〕とやったらしかなたあ。

そいでその、ある時に殿さま通いのあったて。

そいで和尚さんが、

「小僧、小僧。行たて尻っこ立てろ。尻っこ立てろ」て、

言うてその、二人小僧がその行たて。

尻は後向きいなって。

殿さま通いなっ時。

まあ佐賀ん殿さんが行きないよって連れて行たて。

そうすっと、二人ながら小僧で、子供じゃっけんなたあ。

そいでもう、どうなるじゃろうかあ、

と思うとっばってん、金剛院の和尚さんもちょっと、

手入れをできんじゃったこっちゃいないこっちゃい〔だきなかったかどうか〕〕、

まあ、そこそこはどぎゃん〔どうにか〕か釈放願いをさしたこっちゃい、

そいでその、子供のことじゃっけんがその、

「歌詠みをしたならば、よか歌を作ったならばその、命は助けてやる」と、こう言(ゆ)うて。

「歌詠みをせろ」と。そいで、国が二か国と言うその、題が出たらしかたんたあ。

そいでその、昔ゃあ、こう、竹筒のこうしてその、今の灰皿じゃなし、

こう四角かてえ〔のに〕、竹筒ちいこうして、そして、よう〔よく〕その、

たばこ飲うだいしてその、唾をこう吐いで、それを見てその、

はい筒をのぞけば遅しあわむさし

竹の一世に国が二か国

そいから、もう一人(ひとい)とはなたあ、

蛙(かわず)踏めばギャッというたが身の終わり

すその裏に国が二か国

そいで、歌がまとまったて、いうわけで。

そいぎなたあ、助けられたということたんたあ。

そればっかい。 

〔笑話その他〕

 (出典 吉野ケ里の民話 P190)

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