神埼市神埼町戸井土 西 ラクさん (41)

 あの何(ない)か、蕎麦(そば)の根は赤いというのは、

あや〔あれは〕山姥が兄弟おっと〔がいる〕の子ば、お母さの留守ん時。

その留守に子供ばいち食いに来るもんなたあ。

そいぎぃ、子供が逃げて行きよったところが、天からあの、綱の下って来たもんなたあ。

そいぎぃ、それ登って行きよったところが、ああ、後からつんのうて〔ついてきて〕行た。

そして、もう、子供がとっべん〔てっぺん〕辺(にき)行きよった時、

自分も行こうでてしよったとが、プッと、つっ切るんもんなた。

そして、下に落ちて、もう血だらけになったところが、その、蕎麦畑じゃったち言うわけなたあ。

そいけんが、蕎麦の根は赤いち。

〔大成 二四五 天道さん金の鎖 (AT一三三、三三三、一一八〇)

 (出典 吉野ケ里の民話 P102)

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