唐津市馬渡島二松 牧山トモさん(明12生)
嫁行たて、そして余(あんま)り痩するからその、
姑(しゅうと)嬶(かか)さん、
「お前は、なしてそんなに痩するか」て言うたら、
「私ゃもう、屁ふったかばってん、その、屁こらえて、こげん」。
「そんなら、へって良かけんが、遠慮なしにへれ」て言う。
そうしたらその、屁をへり出した。
「ブーッ」と、へり出せば、大根畑まで戸口から、
その姑嬶さんが、あの、へ飛ばされる。そうしたところが、
「何(ない)しおっとか」。
「家(うち)の嫁が、余(あんま)り痩するから、
何痩すっか聞いたり、『屁をこらえ』」て言う。そんな屁ば
畑まで飛ばさるっ。そいで大根にかがいつけば、
大根にかがいついたままこげんして家(うち)さにゃ連れて来らるっごと。
ところがハチ坊主と婆さんと二人、畑の大根一本なかごと、
家(え)のうちのブーッと吹き出せば、大根畑大根にかがいちいとれば、
スーッとまたすっ時ゃ、ハチ坊主の屁かぜおうたごと聞きました。
(出典 未発刊)
標準語版 TOPへ