唐津市馬渡島 浦丸 亘さん(大7生)

 番所の辻て、こちらにありますもんね。

そこにあの、いわば今あの、ロシアのね、

黒船て唐人お吉なんか時代はですね。

その頃にあの、唐人お吉時代に、船の黒船が通ったらですね、

火を焚いてあの、向こうの、名護屋に番所があるわけでしょ。

そこにあの、

「今、黒船が通っている」と、合図してですね。

そいで、知らせておったそうです、昔は。

そいであの、番所の辻ていうそうですもんね。

黒船で通ってですね、

そして馬渡島の番所のところにも、上がってきたそうです。

そうしてあの、皆がそこにいた人たちがですね、

全部であの、そこらにある石をですね、敵の船にですね、

昔は武器がないから、石を投げたとかですね。

そしてからもう、そこら近辺にもう、石がないもんですからね、

もう最後にですね、石も石、

「この石一つ」ちゅうて、投げた碾()き臼がですね。

敵の大将の頭に当たってですね。

そしてその大将がまあ、死んだからですね、いわばもう、

こっちの勝利でですね、上がることができずに、

こっちの勝ちだったちゅうことですね。

そいであの、その碾き臼の下にですね、

今のこの小中学校に保存されているという伝説はね、

あの、聞いとりましたですね。

そいであの、昔は、あの、そこで黒船を見て、火を

焚いて合図しとったそうですから。

〔伝説〕

(出典 未発刊)

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