唐津市神集島 高崎正道さん(年齢不詳)

 死んだ人がおれば、夜は何か声のするんですよ。

火葬場なんか行ってんですか。

夜は何かモジャモジャモジャモジャ言いよっとです、

自分自身のためあの。

何(なん)でもなかやかーと思うとっところが、

誰か話をしよるごと言うような気配がね、

それは確かに経験しましたから。

だけど、海坊主とか何(なん)とかいうのはですね、

結局、そういうふうな霧の日か雨の日かしか出ないからしいちゅうですね。

そうすれば、霧が出とっでしょうが。

だから自分の舟の方が大きく見えるんです。

向こうの舟は真っ直ぐ来るわけなんです。

自分の舟が映っているんだから。

だから、それをわからんまま。

皆、結局、幻覚に惑わされて、精神が困難状態に入る。

(出典 未発刊)

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