唐津市向島 古川善蔵さん(明25生)
勘右衛門さんが、奈良の大仏殿に行たちから、大仏殿を見て、
「こん家は、建て替えんとでけん。
こういう家ば建ててどぎゃんすっかあ。
こいで、いつも、大仏さんの立ちゃされんで、頭を年中、
首ば傾けておんさっ。
立てば、頭のつかゆっ。
こげん家ば建てちから。
立たれるぐらいの家ば建てひゃん。
どげんこうでん建て替えにゃ。
立て替えなら、日本全国、言いふらして歩(さる)く。
ああいう大仏さんば、世界でも有明な大仏さんを座らして置くといかん」
て、言っていたら、和尚さんがビックイして、
「言いふらすことだけは、してくるんな」と、言う風にして、
勘右衛門さんは、これまた、うまうまと金を巻き上げたち。
(出典 未発刊)