唐津市呼子町加部島 杉吉太郎さん(年齢不詳)
あるところに大きな畑があった。
その畑で種播きをしていた人に、
「こりゃあ、大きな畑。まあ、ええ畑」
と言って、村の人がほめていた。
そこを通りかかった勘右衛門さんは、
「このくらいの畑ば『太か』て。
うちあたりにはサンドマキの畑のあっ」
と言った。
すると、村の人はそんな大きな畑を見たこともなかったから、
「三斗播き畑、どういう大きな畑じやろうか」
と言って、見物に行った。
しかし、そういう大きな畑はなかったので、
「三斗播きの大きな畑はどこにあっじゃろうか」
と、見物に行った者がたずねたら、
「そりゃ、そこにあるじゃなっかあ」
と、勘右衛門さんは言った。
「こぎゃあん小さな畑の」
と、見物に来た者が言うと、
「いんにゃあ、これは三度播いたけん、これは三度播きの畑じゃろうもん」
と、勘右衛門さんは言ったと。
(出典 佐賀の民話第一集 P196)