鹿島市東塩屋 松本弘義さん(昭15生)

 外海にですね、魚捕りに

私の従弟ん子が、台湾付近まで行きよった。

その話でですねぇ、やはりあの、

海の底引きですか、底引きしよると、

一年に一回ぐらいは、やはりその、人骨がですね、

入ってくるらしいねぇ。

それを取った時には、いんにゃあ、上げた時ですね、

そん時には、もう絶対その、魚の獲れっちゅうですね。

そいがですねぇ、あの、結局、

出てから一月(ひとつき)ぐらいは、

三か月ぐらいは普通帰って来んですもんね。

そいで、出たすぐに入ってきた時には、

まだ埋葬するちゅうわけですね。

でも、あとチョッとで帰るという時には、

上げてくるっらしいですよ。

その年は、もう豊作ちゅう、豊漁ですね。

そいで、長崎の方に船上げて無縁仏で。

その例がですね、こっちで私の従弟がですね、待ち網に行って、

ちょうど頭蓋骨の入って来(き)とっとですよ。

そいぎビックリしてから、

もうほたいやって帰って来てですね、

私の父にですねぇ、チョッと、もう怖(えす)うして

持って来うごとなかったあ。

「ほいやって来た」ち言(ゅ)うて、言うたらしかですもんね。

そいぎ家(うち)ん親父が、

「あの、そりゃまた、持って来んけんたあ」て、言うたてですね。

そうしたら、あくる日、待ち網にまた入ってきたと言うんですよ。

そいぎそいを、こっち、無縁仏で祀ったですもんね。

そいから先はですね、もう魚獲いちゅうぎぃ、ほんな名人ですよ。

もう網張ってもですねぇ、あの、チョッとすくいて、

こっちあっですもんね。

あれで獲っても、もうとにかくめごいっぱいちゅうですから、

あの、チョッとコンテナに八個ぐらいは、

二杯ぐらいはチョッとすくいで獲るっぐらいベテランですよ。

そう言う風なことで、もう海で拾(ひろ)うた時にゃあ

持って帰って来んばあ、て言う風な、

その人からのあれもあるわけです。

(出典 未発刊)

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