鹿島市早の瀬 中川内利正さん(大13生)

 為朝が、あの、こっちゃん来て、

そうして、あの、矢ば射()ったけん、

「女の山に矢の立った」ち言()うて、

「矢立」ち、ありゃあっとか。

そいから、七浦の上んにき矢答ちゅうて、矢の答えたばん。

そいから、太良ん辺(にき)は

(何てかにゃあ。あや、何て山かにゃあ。

昔の者、相当歩(あり)りたとじゃろうなあ。)

そして、

「黒髪山は為朝がその、大蛇ば退治して」ち言うて。

そいぎぃ、大蛇の七巻き半も巻()ゃあとったて言うてのう、

そいば退治したち言うて、話はあったいどん。

そいから盲さんの話に、盲さんの

「大蛇どのくらいあったよう」

て言うて、話やったよう。

そりゃほんなこっちゃい嘘言(すらごと)じゃい。

黒髪山、西有田の辺(にき)じゃなかね。

黒髪山も、天童岩てん何てん、そがんとば巻ゃあとった。

大蛇に例えて、そこんたり悪者(わるもん)

おったとじゃろうだいね。

七巻き半の大蛇ば為朝が射ったて。

そいぎ大蛇が、もう負けたて。

その、盲さんのこうこう探(さぐ)いよったちゅうて話やっけん。

「盲さんな蛇に怖じず」て、そがん言いよったいどん、

「俺(おい)が、まあーだ太かとば持っとばい。

(おや)、八巻き」て言うて。

「頭いっちょ、八巻きよいた少なかとたい」

て言うて、話をしおんもんにゃ。

いっちょ巻いても鉢巻。

そいけん七巻き半ていうたあ、

八巻きよいか短かとたい、とヒョロッと言うもんじゃい。

[文化叙事伝説(英雄)]

(出典 未発刊)

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