鹿島市下古枝  吉田 シズエさん(昭3生)

  中村 須美枝(昭6生)

 お婆ちゃんば行く途中、

「迷わんように」ち言(ゅ)うて、

その山道ば、枝ばズッ折って行たて、そいで、

「枝ば折った所ば、お前は間違わんように帰らいを」ち言うて、

枝ば背中に負われながら、その、ズッと山道のよこせの木ぐまの枝ば

折って行きんしゃっわけです。

その折った木の枝のよこせを通って行けば、お前は間違いなく、

「帰ゆっぼう」て言うことば、そがん親の気持ちと言うものを、

有難いものだということを何回も聞くですね。

また、迎えにまた、お婆ちゃんを行きんさっところでしょう。

(そう言う風に聞きましたけれどねぇ。)

そして、役人さんの目につかんように、床の下に隠しんさったと言うようなね、

お婆ちゃんに聞いた。(吉田 シズエ談)

「縄の上に塩撒(ま)いて、そしてそいば焼くぎ灰縄のばでくっとばい」

ち言うですね。それを殿様に、

「婆ちゃんが教えてくいた」て。

そして、年寄りば大事にせんばて言うことで(中村 須美枝談)。

〔大成 五二三A 親棄山(AT九八一)〕

(出典 未発刊)

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