三田川町苔野 野口四郎さん(大14生)
大井 猛さん(大7生)
私が叔父の話を聞いた話は、ちょっと重箱にご馳走持って、
そして、その、梅雨頃でしたかなんか知らんけど、
向こうでダブダブって、大きな魚のおるごたっ音さすっ。
向こうさい行たてなんすっと、またこっちへすっけん、音させてですね。
そうして、後(のち)にゃこう、なんやって帰ってもう、こりゃ難しかと思うて
帰って来た時ゃ、もう重箱の中は何(なん)もなかったち。
やっぱい騙されとっと。(野口四郎談)
さっきの続きですけどね、あの、
宿場の田舎道ですからですよ、あの、帰りがけにですよ、
ああ、これがそれかなあと今、子供心に思うのはですね、と言うのは、
道が平坦であったなら、こう曲り道が平坦でなあ、と思うのがですね、
登り下りがですね、ずうっと気分的にもできとったですよ。
そいぎですね、ついくらくらっとしてみたりですね。
あの、足にふらついてそこの荷物を落とすというあれが出てくるじゃないか。
自分で子供心に経験したんじゃないか。
そう言う風なぐうっと道がですね、変形して来るような感じのみられた音が
するというのと同じように、こっちして咳して一生懸命逃げんごとして、
また向こうから、こいであの、音が、また向こうにして何とも。
[大井 猛談]
(出典 未発刊)