吉野ヶ里町上中杖下 牛島辰次さん(大6生)
吉野ヶ里町曽根 古賀フユさん(明38生)
饅頭じゃいして、ほんにうまかったけんが、
お金持っとらすばってん、その聟さんが馬鹿やったけんが、
こいば、嫁御に、いっちょ作らしゅういちゅうことで、
「饅頭、饅頭」ち言(ゆ)うて、
行きよって、石跳びば渡っ時、
「ピントコ」ち言うて、
向こうさい跳びなったもようたんたあ。
そうしたら、その饅頭は、ちい忘れてピントコになって、
「ピントコ、ピントコ」ち言うて、家(うち)まで帰って、
「ピントコしてくいろ」ち、言いなったぎぃ、
「『ピントコ』ち言うぎ、何かい」ち、言いなったぎ、
「ピントコくしゃ。わからんかあー」ち、
言うて、お亭(と)主(く)さんのおごいなったて。
そしたら、その、嫁くさんばその、
親父さんの叩かしたてっちゃん。
そうしたら、瘤のできたてっちゃん。
「そら、見てんござい。
饅頭のごたっ瘤んできた」ち、言わしちゅう話しば聞いた。
[大成 三六二A 団子聟]
(出典 未発刊)