伊万里市波多津町田代(名前・年齢不詳)男三名

 あのですな、とってもその、和尚さんが飲食かがおったわけですね、

そしてその、小僧さんを三人持っとったちゅうわけですね。

そして、あの、(なん)か、法事か何か保養に行って、

梨を(もろ)うて来たわけですね。

そいで、そういうふうな欲張りの和尚さんですけど、

今日はどうしたことか、あの、その(もろ)うて来た梨をですね、

あの、ひとりずつ配られるわけですよ、小僧さんたちに。

「しかしそれには条件があると、あの、それを一つずつ歌詠みせろ」て。

「歌詠みをしてから、寝なくちゃ食ぶっことならん」と、言うたですね。

そうしたところが、二人の人が歌詠みしたわけですね。

そしたところが、ひとりがなかなかもう、せんもんですから、

「こら、なし歌詠みせんか」ち。そんなら百%というふうなこと。

ところが、それが頭を下げたところが、それが歌詠みすることはですね、

足一つ牛しゅうもん長首を(ちょっと忘れましたが、いちばん最後に)

斬りとおもわり斬りとうもなし

と言う句をつけて、歌詠みすることだったわけですね。

そいでいちばん最後の者が、あの、

なし一つ親鸞聖人の生首を斬りとうもあり斬りとうもなし

と、言ったそうです。(1男談)

そいで和尚が今度(こんだ)あ梨を、

「こん畜生(ちくしょう)」ち言うて、小僧に投げたわけです。そしたら小僧は、

「有難う」と、持って走った。(2男談)

(出典 未発刊)

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