佐賀市長瀬町 納富信子さん(大14生)

 むかーし。

かっちゃんて言う女の子がね、

櫛(くし)で、いくら削っても削っても、髪がほぐれんもんじゃい、

いつも、お母さんが湯でのばしたいして、解いてやいよったらしかもんね。

そいぎぃ、お母さんが死んでしまって、二番嬶(がか)さんが来たもんじゃい、

かっちゃんの髪ば、ほぐして解いてやっもんのおらんごとなったて。

お母さんのおる間は、髪ば櫛で削ってもらいよったばってん、

二番嬶さんになったぎぃ、そがんことしてくれんもんじゃい、自分で解かんばでしょうが。

そいもんじゃい、解けんもんじゃい、死んだお母さんがホトトギスになってね、

お母さんがしてやらんぎぃ、誰(だい)でんしてやる者(もん)のおらんもんじゃい。

そいで、お母さんが、

「かっちゃんとけたか。かっちゃんとけたか」ち言(ゅ)うて、

死んでからまで自分が産んだ子が心配やもんだから鳴くんだった。

そいぎぃ、ばあっきゃ。

(出典 さが昔話 P64)

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