伊万里市波多津町木場 松下儀三郎さん(明30生)

 あるところに息子ができたそうですたい。

で、チョイてつけた。

そうしたらもう、すぐ死んだちゅうもん。

「こりゃ、いかん。今度できたら名ばゴッソリ長(なご)うつきゅう」。

そしたまた、後のできたらしかですたい。

「何(なん)てつけたらよかろうか。何(なに)が良かろう。かにが良かろう」

て言うたちゅう。短(みしか)からしかですもん。そいが名が、

「テテトウトウテトウトウ テエタカニョウライスウニンボウ

テクテクノテクスリゴンボウ アキヤマジュウロウハチュウエノヘイナザエモン

ソンアケマスサゲマス ジングウヤッキリモッキリノハチマンタロウ」

て、そぎゃん長う言うたそうですたい。

「そいが、どぎゃんしてたつか」て。

「井戸ん中(なき)ゃあ入(ひゃ)あって、あの、溺れおっ」て。

「何(なん)てぇ。まあ一遍言うてぇろう」て。

そしてまた、

「テテトウトウテトウトウ テエタカニョウライスウニンボウ

テクテクノテクスリゴンボウ アキヤマジュウロウハチュウエノヘイナザエモン

ソンアケマスサゲマス ジングウヤッキリモッキリノハチマンタロウ」

て、そぎゃん長う言うたそうですたい、ち言(ゅ)うて、

二、三回言いよったら、もう溺れて死んでしもうた。

そいけん余(あんま)り長うつけても良うなかて。

(出典 未発刊)

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