伊万里市南波多町府招上 横田 栄さん(年齢不詳)
唐津市近代図書館 冨永めぐみさん
村の人を騙（だま）してばかりいたから、
俵に入れられ、海岸に置き去りにされました。
そこへ目の悪い魚売りが通りかかり、
その俵につまずいてしまいました。
勘右衛門は、
「あぁ、せっかく俺は目の養生しよっとこれぇ。お前、何なら開けてくれぇ」と、
魚売りに言って、俵から出してもらったのです。
そして、勘右衛門は魚売りに、
「お前も目の養生をせんか？」と言って、俵の中に入れてしまいました。
そこで、勘右衛門は、魚売りの魚を自分の家へ持って帰りました。
二、三日後、勘右衛門は、
魚売りの魚を村の人たちの所へ持って行くと、
村の人たちは、勘右衛門が死んでいると思っていたので驚いていました。
勘右衛門は、
「お前たちが、まちっと【もう少し】深か所に投げ込んでくいとんなら、
もっと太か魚を持って来て良かったどん、ちいっと【少し】浅か所にしてくいたけん、
こがん魚しか持って来られんやった」と言いました。
(出典 佐賀の民話2集 P244)
佐賀弁版 TOPへ
