多久市北多久町中ノ原 飯盛康晴さん(明43生)

 蚯蚓(みみず)はですね、

「私は何(ない)ば食うたこんなよかろうかあ【食べたらよいでしょうか】」

て、言うたぎその、お釈迦さんがその、

「お前(まや)あ、とにかく泥どん食っていっちょけ【泥でも食っておりなさい】」

と、言うてその、お釈迦さんが言われたて。

ところが、その蚯蚓は、

「その泥ば食うてしまうぎにゃあ、のうなっが【なくなりなすが】、

後(あと)はどがんすっぎよかろうか」

と、言うて来たぎにゃ、

「そいないば夏の土用(どゆう)に、外(そて)ぇ、日向(ひなちゃ)あ出て、

そしてもう、死んぎそいでよかたあ」て。

「そがんしていっちょかい」ち言(ゅ)うて、言いやったてぼう。

そいまっきゃたん【それでおしまい】。

[大成 七五 蚯蚓と土]

(出典 多久・飯盛翁が語る佐賀の民話 P8)

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