富士町栗並 山本ウメノさん(大7生)
兄弟おって、兄さんの方が盲じゃったとかて、
聞くばってんね。
そしてそん、ほら、弟の方は当たい前だったいどん。
弟、山(やみ)ゃあに持ってきて、
良かとこの分ばっかい、そん盲さんにゃ食わせて、
自分はほら、上の方のびや口ね、
あつこばっかい食うとこれぇ。その盲さんが、
「俺、こぎゃん良かとこば。
あんたは、まだよかとこ食うじゃろう」と思うて、
そい、殺(これ)ぇとっかて。
そして、おろいかとばっかい食うとったもんじゃい、
その盲さんが、罰(ばち)かぶって、そん泣く。
百こっちゃい二百こっちゃい叫(おら)ばじにゃ、
あの食べさしゅうばってんね。
「カッチャンとけたか」て、泣かじにゃおられんて。
[大成 五四 時鳥と継母]類話
(出典 未発刊)
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