佐賀市東与賀町下飯盛 福岡健吾さん(明34生)

 ちぃっと、頭の足らん息子がおって、

家を新しく建てたけん、その家(うちぃ)、見に行ったて。

そいぎ、行く時、家(うち)んの者(もん)【女房】が、

「ちょっと、家ん柱の引っくうだ【引っ込んだ】穴のような所のあったらね、

お守いさんばね、

「『こがんとこないば、お守いさんば貼っとくぎ良か』て言え」

ちゅうて言われて行たて。

そいぎ、そん時は、

そがん言うて良かったらしかいどん【良かったようだけど】、今度(こんだぁ)、

「馬買(こ)うたけん、馬見いぎゃけぇ【馬を見に来い】」て言われて行たぎ、

今度は、馬の尻(しん)の穴(す)ば指さして、

「こけぇも【ここも】、お守いさんば貼っとくぎぃ良かたい」て言うたて、

そがん話ば馬喰(ばくりゅう)さんから聞いたことのあっ【ある】。

(出典 新佐賀市の民話 P50)

標準語版 TOPへ