神埼町小渕 佐野ハツさん(明12生)
和尚さんがお通夜に行た後(あと)で、
小僧さんがその、甘酒を和尚さんが造っとんさっとこれ、
もう和尚さんが、今、留守だから甘酒を
腹一杯飲んでくりゅうで思うて、
お茶碗持って行たて飲みんさったて。
そしたぎ、飲みおっうちに和尚さんが帰って来んさったぎ、
阿弥陀の口、甘酒ば、いっぱい塗すくい付けて、
小僧がおろたえて先へ帰って来たて。
そしたぎ、和尚さんが、
「おい、小僧。甘酒なんかぁ」ち。
「いいえ、わたしゃ飲みません。阿弥陀さんのお釈迦さんの
あぎゃん飲みんさったぁ。口ば見てごらん」
ちゅうて、小僧さんが言いんさったち。
(出典 未発刊)